今回は遺言書について書きたいと思います。
「遺言」は一般的には「ゆいごん」と読みますが、法律家は通常「いごん」と呼びます。
言い方の問題ですから、どちらでもいいです。
ご高齢になられると、多少なりとも将来相続のことを心配になられる方は多いと思います。
特に、昨今は団塊世代の方が大量退職したことも遺言書作成のニーズが増えている要因かなと思います。
「財産も多くないし、遺言書なんて必要ない」
「うちは家族みんな仲がいいから、相続でもめない」と思っている方も含めて、次のような方は作成を検討した方がいいかもしれません。
・自分には子供がいない
・自営業をやっていて、死後も事業を引き継いでほしい
・孫にも遺産を残したい
・家族の仲が悪い又は疎遠である
・先妻に子供がいる
・愛人がいる
・遺産の種類や数が多い
などなど
1.自分に子供がいない
子供がおらず配偶者がいる場合、相続財産は配偶者が全てもらえると思っていませんか。
少し調べれば分かるのですが、意外と配偶者が全てもらえると思っている人は多いです。もし相続人が配偶者のみであれば、配偶者が全財産相続します。
ですが、自分に両親がいたり、兄弟姉妹がいるケースでは、配偶者と共に、両親や兄弟姉妹も相続人となります。
嫁(配偶者)姑の争いではありませんが、仲良くやってきたのは、あなたがいたからです。
人は誰しも、少しでも多くの財産が欲しいものです。あなたがいなくなり残された家族は、本当に円満にやっていくでしょうか。
2.自営業をやっていて、死後も事業を引き継いでほしい
法人であれば、株を誰が取得するかという問題はあるものの、仕事で使っている資産は会社の物ですから、あなたが亡くなっても会社は存続します。
ですが、自営業の場合は、その事業のための資産はあなたの物であり、相続財産の対象となってしまいます。
遺産分割に失敗してしまえば、事業継続に必要な資産は、別々の相続人による所有となってしまい、事業の継続は不可能となります。
3.孫にも遺産を残したい
孫とは、本当に可愛いものらしいですね。私にはまだ孫がおりませんので分かりませんが、親のような責任もなくただただ可愛がってあげればよい
かけがえのない存在ですね。
そんな可愛い孫は、相続人ではありません(代襲相続の場合を除く)。自分の子供が相続人です。
子供が相続すれば、いずれは子供の財産を孫が相続して・・・なんて考えているかもしれません。
ですが、子供から孫へと相続される際に、相続財産が残っている保障はありません。たとえ子供に浪費癖がなかったとしても、日本経済の将来を考えれば、
今後孫の代まで豊かな日本が維持されるか未知数です。いえ、すでに日本は貧困の時代へと変わりつつあります。
4.家族の仲が悪い又は疎遠である。
これはもう言わずもがなですね。
たとえ相続財産が少なくても、「自分のもらう財産が少ない」から揉めるわけではありません。
「自分の方が少ない」から揉めるのです。人は、他人と比べて良し悪しを判断するんですね。
また、相続人同士が疎遠な場合でも、同じことはいえそうですね。
5.先妻(夫)に子供がいる。
現在婚姻関係にある配偶者の子供の他に、先妻(夫)との間にも子供がいるときは要注意です。
これも説明までは必要ないですね。
6.愛人がいる。
愛人は、当然のことながら相続人にはなれません。ですが、あなたの最期を看取る人が愛人であれば、
身の回りの世話も全て愛人が行うことでしょう。家族の誰が愛人のために財産を譲ってくれるでしょうか。
7.遺産の種類や数が多い
相続財産といえば、ほとんどの方が自宅(土地・建物)と現預金くらいしか、めぼしい財産はありませんが、
昨今の資産運用の流行から、株などの証券や、多数の不動産に投資しているケースも多いです。
このように資産の種類が多様化する中、どの相続人が何を相続するのかは、重要な関心事です。
特に、不動産のように売却はしたくないが、誰が相続するのか揉めた状態となると、最悪共有の状態で相続しなければなりません。
「共有」状態だと、不動産を売却するのにも、共有者全員の同意が必要ですし、改装するにも過半数の同意が必要です。
また、自分の持ち分のみ譲渡ことは可能ですが、他に共有者がいる不動産は、買い手が見つかりにくいですよね。
このように、遺産をめぐっては様々な障害が発生する可能性があります。
「財産が少ないから」「仲がいいから」と安心せず、いつまでも家族全員が仲良くあるために
今からご自身の最期の意思表示の準備をしてもいいかもしれません。
自分には、必要ないかなと思っていても、案外その重要性に気付くかもしれません。
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