今回は相続人の調査について書きたいと思います。
相続は、死亡によって開始します(民法882条)。
そして相続手続で重要なことは、相続人が誰なのか、遺産は何がどれだけあるのか、
その遺産を誰にどのように分配するかです。
そこで相続人が誰であるか調査する必要が出てきます。
もちろん、家族の中ではすでに相続人が誰であるか判明しているケースがほとんどです。
わざわざ調査する必要あるの?と思う人もいるかもしれません。
ですが、相続では被相続人の預金の払い戻しを行ったり、不動産の相続登記をしたりと、
銀行や法務局といった第三者機関でこれを行う必要があります。このような第三者としては、家族が「相続人は私だけです」などといっても信用してもらえません。また稀に、見知らぬ相続人が出てくることもあります。そのため、相続人の調査を行い客観的な資料を提示して初めて、相続手続を行うことが可能となります。
では、具体的にどのように行うのか。
まずは、被相続人の戸籍謄本等を収集します。この戸籍謄本は、被相続人の出生から死亡まで全て取得します。戸籍は、本籍地所在の役所で取得できますが、本籍地を変更している場合には、取得できる役所も変わっていることがありますので、注意が必要です。
そして被相続人の出生までの本籍を取得すれば、少なくとも、被相続人の親と子供については、戸籍に記載されて、相続人を確認することができます。
被相続人に認知した非嫡出子がいた場合には、当該非嫡出子は戸籍上、認知時においてその旨記載されますが、その後被相続人が本籍地を変更したなどで、戸籍が変更された場合には、後の戸籍には移記されません。これは被相続人が養子をもらった場合でも同じですので、注意が必要です。
被相続人の出生から死亡までの戸籍を取得し、子も親も存在しない場合には、兄弟姉妹が相続人になる可能性があります。したがって、今度は兄弟姉妹の存在を調査しなければなりません。
そのためには、被相続人の両親の戸籍を死亡から出生まで遡って取得する必要があります。
これは被相続人の両親の過去に遡って婚姻履歴を確かめることで、兄弟姉妹の有無を確認する必要があるからです。
被相続人の両親が過去に再婚していたり、婚外子がいたりするケースがあると、半血の兄弟姉妹が判明したりすることも稀にあります。たとえ調査の結果、兄弟姉妹がいなかったとしても、上記第三者機関に「兄弟姉妹がいないこと」を証明できることとなります。
このように被相続人が再婚している場合などは、戸籍の取得数も増えていき、戸籍の内容を確認しながら丁寧に調査を行っていく必要があり、その手間は結構なものです。とくに相続手続を進める方が
会社勤めなど平日に動けない場合、郵送申請をするしかなく、取得間違いなども起こしがちです。
相続手続は、まだ財産調査や財産の評価、分割という手続が残っており、時間がかかるものです。
そのため、相続人の確定はできるだけ速やかに行うことが円滑で円満な相続には必要です。
当事務所でも、あま市、清須市、津島市などで相続手続のサポートをしていますので、
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