続けて、相続人の調査について話したいと思います。
被相続人の調査については、前回お話しました。
ただ、このような被相続人の調査により、相続人についていろいろな事実が判明したり、相続手続に影響を与えるケースもあります。
例えば、
すでに述べたように、①被相続人に認知した子供が存在したケース
②養子縁組をしたケース
③相続人に未成年の子供が含まれるケース
④被相続人に胎児がいて生まれたケース
⑤相続人に欠格者がいたケース
⑥代襲相続が発生するケース
⑦推定相続人が廃除されたケース
などです。
詳細は割愛しますが、原則的な一般論のみ説明します。
①認知した子供が存在したケース
認知された子供は、実子と同順位の相続人となります。
法定相続分についても、民法改正前は、実子の2分の1とされていましたが、裁判所による違憲判決(最大決平25.9.4)により、現在の民法では嫡出子と同じ法定相続分となっています。
②養子縁組をしたケース
この場合には、養子も実子と同順位の相続人となります。
法定相続分も同じです。また、普通養子の場合には、養親だけでなく、実親についても相続人となります。
③未成年の子供が含まれるケース
この場合には、未成年者の親権者など法定代理人が未成年者に代理して遺産分割協議を行うことになります。但し、当該親権者も相続人となる場合には、利益相反の問題が生じるため、親権者は未成年者を代理することができず、代わりに特別代理人が選任されて未成年者を代理することとなります。
④被相続人に胎児がいて生まれたケース
このような胎児にも生きて産まれれば、子として相続権が発生します(民886条Ⅰ)。
⑤相続人に欠格者がいたケース
被相続人又は先順位・同順位の相続人を故意に死亡させたり、詐欺・強迫によって遺言をさせたりするなど、一定の事由に該当する者は、相続人にはなれません(民891条各号)。
⑥代襲相続が発生するケース
被相続人の子が、相続開始以前に死亡又は排除若しくは欠格となった場合には、その者の子が代襲して相続人となります(民887条Ⅱ)。
⑦推定相続人が廃除されたケース
被相続人は、推定相続人が被相続人に対して虐待や重大な侮辱、著しい非行があったときに、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができます(民892条)。
この場合、家庭裁判所による廃除がされたとき、当該推定相続人は初めから相続人でなかったこととなります。
このように、被相続人の調査や相続手続の過程において、いろいろな事実が判明したり、問題が生じるケースもあります。
当事務所では、相続手続の円満な遂行をお手伝いしておりますが、紛争が生じた場合や税務の問題等については、他の士業と連携してサポートしております。
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